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「ちょっと。家の弟のカオス聞いてくれる?」
授業の間の休み時間に、僕がノッチと命名した友達が言いました。 「カオス? カオスって、混沌のカオス?」 「そう。そのカオス。聞いてくれる?」 「興味ありますね。是非」 三人ほどで円を作り、ノッチの話に聞き入ります。 「実はさ、弟テストやったらしいんやけど」 「あぁ~。今どこもテストしよるもんなぁ」 「そうそう。で、家でノンビリしとったら弟帰ってきてな」 「はいはい」 「いきなりこっち見て言うんよ。 『姉ちゃん。俺のテストの点聞いて』 って」 「良かったん?」 「『英語のテスト、82点』」 「え、すご……」 「『失点が』」 「「……はい??」」 聞いた限りでは、かなりの高得点だった英語のテスト。 しかしその点は得点ではなく失点で。 「えっと……確認していいですか?」 「なにを?」 「82点というのは、得点じゃなくて失点……?」 「うん」 「え? じゃあテスト18点?」 「そうなるなぁ」 ……。 …………。 ………………。 「「なにやってんだ弟ぉぉっ!!?」」 「ぅおっ?! ビックリしたぁ」 「18点って……しかも弟さん何故か誇らしそう……」 「まさか、得点ではなく失点を先に言う人がいるとは……驚きです」 「よなぁ~。しかも、数学のテストもあったらしいんやけどな。そろもまた劣らずカオスなのよ」 「え? 数学? 数学でカオス?」 「今度は失点何点ですか?」 「いや、失点とかじゃなくてな」 「じゃあなによ?」 「弟、数学を五問まで解いたとき、シャーペンの芯が無くなったらしくてな」 「……芯が?」 「そう。芯が」 「予備は?」 「持ってなかったって」 「先生に頼んでなんとかしてもらったんですか?」 「いや、なにもしてない」 「じゃあどうしたんです?」 「やから、なんもしてないの」 「「??」」 首を傾げれば、ノッチが呆れた顔で。 「あいつ、芯が無くなったあとただ時間が過ぎるのを待っとったんやって。問題解きもせんで」 「………………」 「…………先生に言えば芯貰えたんやないの?」 「そう言ったらな。 『その手があったか?!』 って言いよった」 「要するに、気付かなかったんですね?」 「そうそうそうそう」 「カオス……カオスだ……」 「なんというカオス……」 会話は終わりますが、僕らは授業が始まります。 え? なんの授業かって? テストに決まってるでしょう……。 期末考査四日目のこの時間。 これからは僕らのカオスの時間が始まります。 自由ってなんだっけ……? ダウンロード
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